こんにちは。男性向けジャムウショップ・エムズジャムウマーケットの不思議店長です。
今日のブログの題名、何かわかりますか?

ダドンというのは、バリ語で「おばあちゃん」。「シリー」とは、キンマのことです。
え?キンマ・・・って・・・なに?

シリー(キンマ)とは、インドネシアに古くから伝わる嗜好品で、神聖なものとされ、おもてなしの品としてお客様に勧めることもあるそうです。
今では、街中ではあまり見かけなくなりましたが、田舎に行くとお年寄りが、このシリーをもむもむ噛んでいるところを見かけます。

バリ語でバセ(Base)と呼ばれる、シリー(Sirih・コショウ科の多年草)のハート型の葉っぱにブアー(Buah・ビンロウというヤシ科の植物の種子を薄くスライスしたもの)とカプール(Kapur・石灰)とガンビル(Gambir・阿仙薬といわれ、アカネ科カギカズラ属の植物の葉と若枝を乾燥させたもの)をのせ、くるんで口の中でもむもむと噛みます。

しばらく噛んでいると、口の中で石灰とビンロウが反応し唾液と混じり、赤いつばが大量に出ます。このつばを飲み込むと、胃に悪いので、つばは吐き出します。
噛んでいると、口の中はピリピリとした刺激があり、覚醒作用があるそうです。

ある程度噛んだら、シリーは吐き出し、マコ(Mako)と呼ばれる、タバコの葉を丸めたもので歯をこすり、その葉を下唇と歯茎の間にいれておきます。こうすることにより、タバコの葉からニコチンがでて粘膜吸収されるそうです。

このシリー、インドネシア独特の嗜好品かと思ったら、ビンロウは台湾などでも嗜好品として使われ、東南アジアの広いエリアで好まれている物だそうです。

さて、シリーですが、噛んでいる出てくる赤い唾は飲み込まず吐き出すと、書きましたが、この赤い唾、本当に血を吐いているように見えます。土の地面に吐いても、それほど感じませんが、コンクリやアスファルトの上に吐いてあると、まさしく、血の色をしています。

もちろん、シリーを噛んでいる口の中も真っ赤で、夜シリーを噛んでいるおばあさんが、ニッと笑って、血に染まったように見える口が見えたら・・・吸血鬼やヤマンバかと、思います。

また、シリーを噛んでいる人は、その成分で歯や歯茎が黒くなっていきます。まるで、昔の日本のお歯黒のようです。
そのため、人前では恥ずかしくて、口をあまり開かないおばあちゃんもいます。

シリーですが、先ほど書いたように、覚醒作用がありますが他にも、殺菌作用や消臭作用もあるそうです。
さらに、歯を強くする効果があると、ダドン(おばあちゃん)は言ってました。

最近、つばを吐いたり、口が黒くなるのが、下品でみっともないからと、シリーを噛む人が少なくなってきました。
若い人はもう、ほとんどシリーを噛まないと思います。
こうして、少しずつ昔から伝わる風習が消えて行くのを、少しさみしく思う店長でした。