こんにちは。男性向けジャムウショップ・エムズジャムウマーケットの不思議店長です。

今日は「クニンガン」です。
クニンガンとは、バリ・ヒンドゥーの宗教行事の一つで、先日行われた「ガルンガン」の10日後に行われます。
ガルンガンの時に天界から降りてきた神様や祖先霊がこのクニンガンの日に天界に帰ります。
神様たちはクニンガンの日の午前中に帰ってしまうので、午前中にお寺や家寺にお参りをしなくてはいけません。そのため、朝早くから準備をしてお寺などにお参りに行きます。

クニンガンの日はバリ州の休日なので、バリ島内の官公庁、学校はお休みになります。(今年のガルンガン-クニンガンは学校の期末休みと重なったので、学校はガルンガンの前からずっとお休みになっています)
クニンガンのお参りは、午前中だけなのでワルン(食堂)やお土産物屋さんなどのお店の大半は午後からお店を開けます。
ですので、観光客の皆様にはそれほど迷惑にはならないと思います。

クニンガンの日のパサール
朝早くから開いているパサール(市場)は、当然お休みになります。いつもは沢山のバイクが並び、お客さんでごった返しているパサールも今朝はお供え用の生花を売る人たちだけしかいません。お供え用の生花は、朝摘んだものを使いますので、生花を売る人たちはお祭りの日でも休むわけにはいかないのです。でも、クパヤ姿で売っていますね。
「せっかくパサール見物に来たのに・・・」と残念がる観光客もいますが、めったに見られない風景ですので、これはこれで面白いかと思います。

クニンガンの日は、お寺にお参りに行くほか、家寺など家の中のいたるところにお供え(バンタン)をします。
クニンガンの日のバンタン
私の会社のオフィスの車にもバンタンが置いてありました。
家中のお供え物は、ほぼ毎日行われますが、通常はチャナンと呼ばれる、小さくて簡単なものです。しかし、ガルンガンやクニンガンの日は豪勢なお供え物になります。

お供え物に、ヤシの葉っぱで作られた、ワッカのようなものがあります。これは、タミヤン(Tamiyang)といって、クニンガンの日にだけ作られる特別なお供え物です。

ガルンガンやクニンガンは、ウク暦という、バリヒンドゥー独特の暦によって行われます。ウク暦とは1月が5週(35日)、1年が6カ月、210日(35日×6)で進む暦です。ですので、ガルンガン-クニンガンは210日に一度行われるお祭りです。
また、バリヒンドゥーには「5日暦」や「3日暦」もあり、5日暦の「カジャン」と3日暦の「クリオン」が出会う「カジャン・クリオン」という日は、地底に住む神様「ブト・カロ」が地上に現れ、悪さをする日と言われています。そのため、「カジャン・クリオン」の日は、プト・カロが悪さをしないように。特別のお供え物をします。

クニンガンの日は、実はこの「カジャン・クリオン」の日なのです。そのため、プト・カロが地底から上がってこないうち、つまり午前中に神様や祖先霊は天界に帰るのです。だから、クニンガンのお祈りは午前中にしなくてはいけないのです。

「ガルンガンやクニンガンの日はお店が休みになるから、観光に来るにはこの日を避けた方がいいですよ」
旅行会社やガイドブックは、そのようにいいます。

しかし、クタなど南部エリアに住むインドネシア人は半数がジャカルタなどから移ってきた非ヒンドゥー系の人たちですので、ガルンガンやクニンガンでもお休みはしません。
また、ウブドなどヒンドゥー教の人たちが多いエリアでは、朝早くからクパヤやサファリといった民族衣装を着て、山のようなお供え物を持ちお寺に向かう人々が見れる、ガルンガン、クニンガンの日こそ、本当の「神々が棲む島」バリ島が見える絶好の観光日和だと思います。