先日のブログで、性病・性行為感染症(STD)についてお話をしました。

皆さんはSTD・性行為感染用についてどんなイメージをお持ちでしょうか?

「不特定多数の人と性行為をしている人が感染する」

「アブノーマルな性行為をしている人が感染する」

「覚せい剤の注射器の使い回しで感染する」

というイメージから

「僕は、パートナー以外とは性行為はしないし、覚せい剤なんてしないからから、STDなんて関係ないよ」

と、思われている方が多いと思いますが、実は特定のパートナーとしか性行為をしていなくても、感染してしまうSTDがあるのです。

それが、今回ご紹介する「性器カンジダ症」です。

このSTDは、カンジダという真菌(カビなどの仲間です)によって引き起こされる疾患です。

このカンジダ菌ですが、特殊な菌ではなく、酵母の代表的なもので、もともと性器周辺に存在する常在菌なのです。

普段は免疫力や周りの善玉菌によって繁殖が抑えられているんですが、体調不良、ストレスなどにより免疫力が落ちると増殖して性器カンジダ症という疾患を引き起こします。

この性器カンジダ症の症状ですが、男性と女性とではちょっと違います。

まず男性ですが、男性は性器が体外に露出しており、風通しもいいので、カンジダ菌が増殖しづらく、あまり性器カンジダ症になる事はないそうです。

症状は
・性器周辺がむずがゆくなる(特に亀頭部やその周辺の包皮に痒みが発生します)
・亀頭部や亀頭周辺の包皮に赤い斑点ができる
・恥垢が出やすくなる
・亀頭や包皮に炎症が発生する

特に包茎の方は、常に亀頭が包皮によっておおわれており、カンジタ菌が繁殖しやすいので包茎でない人に比べ性器カンジタ症に感染しやすいそうです。

女性の症状ですが、女性は性器が体外に露出していないので、カンジダ菌が増殖しやすく、この性器カンジダ症はポピュラーな疾患だそうです。性器がむずがゆいという症状で産婦人科を訪れる患者さんのほとんどがこの性器カンジダ症で、性交未経験者にも表れるそうです。

症状は
・性器周辺がむずがゆくなる
・膣口や陰唇に赤い斑点ができる
・どろっとした塊状のオリモノが出る
・膣口や陰唇に炎症が発生する

男女とも、性器に炎症が発生すると、痛くて性行為ができなくなります。

セックスをするとき、パートナーが充分に濡れているのに、痛がって挿入できない、ピストン運動ができないといった症状が出た場合、まずこの性器カンジダ症を疑ってもいいと思います。

この性器カンジダ症を引き起こすカンジダ菌は、何度も言いますが、特別な菌ではなく常に性器周辺に存在する在住菌です。そのため、性行為をしなくてもこのSTDが起きる可能性があります。実際、性行為未経験な方でもこの疾患が発症した事例が何例もあるそうです。

では、この性器カンジダ症はどのように予防したらいいのでしょうか?

性器カンジダ症は常在菌のカンジダ菌が増殖しておこる疾患です。つまり、カンジダ菌を増殖させなければいいのです。

そのためには

1)本来持っている免疫力が十分発揮できるように、常に健康な体を維持する

2)あまり体に密着した下着や衣類を付けると、性器周辺が蒸れやすくなるので、通気性の良い下着などを身に着ける

3)性器周辺に存在する善玉菌が死滅しないように、必要以上に性器周辺を洗わない

ここで、特に注意してほしいのが3番の項目です。

もともと人の皮膚には多くの菌が存在しています。

その中には、カンジダ菌のような人に害を及ぼす菌から人体を守ってくれる善玉菌もたくさんあります。

しかし、カンジダ菌の増殖を恐れ、必要以上に性器周辺を石鹸などでゴシゴシ洗うと、この善玉菌も死滅してしまい、カンジダ菌など悪い菌の増殖を助長してしまう事があります。

性器周辺はあまり石鹸などを付けず、お湯などで洗い流すだけで十分と指導している医師もいますので、あまり神経質にならず、軽く洗い程度で十分だと思います。

もし、不幸にもこの性器カンジダ症にかかってしまったら・・・

専門の医師(泌尿器科などがいいと思います)に行って、治療を受けてください。

治療と言っても、難しいものではなく、カンジダ菌に対して有効な軟膏を塗るだけだと思います。

ただし、よくあるのが、一週間程度で痒みが無くなったからと言って、軟膏の塗布をやめてしまい、またカンジダ菌が増殖してしまう事です。

くれぐれも、素人判断で治療をやめないで、医師の指示に従った治療をするように心がけてください。

他にもある身近なSTDはこちら>>エムズジャムウマーケット・性病・性感染症について(2)